おもしろコラム9月号
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アメリカというのは移民の国です。17〜18世紀にイギリス人の新教徒がやってきて、そのあとヨーロッパ各国からくるわけです。おもしろいことに、アメリカ人はイギリスからの独立戦争のときに、大のイギリス嫌いになってしまった。「イギリス人が大好きな紅茶なんて飲まねえ」ってんで、アフリカ原産のなんだかよくわからないコーヒーを飲みだす。 「スコッチなんて飲まねえ! ハンバーガーもやがて「イギリスのサンドウィッチなんかいらねえ、俺たちにはハンバーガーがある」となるのです。 アメリカというのは、ヨーロッパのいろいろな国から移民が来るわけですが、最初に来たイギリス系が上流階級になり後から来たドイツ系やイタリア系は、白人の中でも貧しい層になる。貧しいけど美味しいものは食べたいというのが人間。ふるさとの味も恋しい。ドイツ人って食卓に酸っぱいものが欲しい人たちで、何かアメリカでいい食材や調味料を作れないかな〜と、できたのがアメリカを代表する調味料トマトケチャップ。ほかにマスタードも酸っぱくていい。キュウリのピクルスも作っちゃおう。これらが、ドイツ系移民だけではなく、他の人々にも伝わっていく。さてさて、挽き肉、ケチャップ、マスタード、ピクルス。アメリカ生まれの食べ物ハンバーガーやホットドックに必要なものがそろってきました。さて。アメリカでは南北戦争が起こりました。昔のアメリカって北部は商工業地帯。南部は農業地帯。南北戦争は北軍の勝利で、商工業は南部にも広がります。農業のランチは農作業をして、お昼に家に帰って食べるもの。しかし商工業の労働者は、家に帰れません。農家だとランチを食べた後少しのんびりして……、と余裕がありますが、商工業だとお昼休みは1時間。とにかくさっと食べて少しコーヒーを飲んだら、すぐに工場に戻らないといけない。すると、そんな労働者たちを当て込んで、工場の周りにファーストフードの屋台がたくさん出るようになる。俺たちにはバーボンがある!」と、対抗する。      67

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