おもしろコラム9月号
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民のモンゴル人はニワトリとサカナをあまり食べないそうです。 食のタブーは、宗教的なものと習慣的に食べるのを避けるものがあり、イスラム教の聖典であるコーランには「汝らが食べてはならぬものは、死獣の肉、血、豚肉、それからアッラーならぬ(邪神)に捧げられたもの、絞め殺された動物、墜落死した動物・・・」 などとあり、死肉や血抜きしていない肉などは、衛生的に問題があると考えてタブーになったのかもしれません。 一方、モンゴルの英雄チンギス・ハンが制定した法令では「イスラム教徒がやるように獣の首を切り落とす者は、同じように首を切られて殺害される」とし、「腹を割いたら手で心臓を締めるように」と命じています。そして野菜が乏しい遊牧のモンゴル人は、イスラム教徒とは逆に、ビタミン源として家畜の血液を腸詰にしたり、家畜に害がない程度傷をつけて生き血を飲んだりするそうです。 ブタやウシは食べることがタブーとなる宗教や民族がいるのに対して、獣肉ではありませんが、ニワトリをタブーとする宗教や民族はありません。しかし日本の場合、弥生時代にニワトリが大陸より入ってきましたが、「常世(とこよ・永遠に変わらない異世界)の長鳴き鳥」として聖なる鳥とされ、戦国時代に西洋人がやってくるまで、鶏肉も玉子も積極的には食べなかったようです。      70

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