おもしろコラム9月号
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  「京の着倒れ、大阪食い倒れ、江戸の飲み倒れ」という言葉があります。江戸時代になり平和になってくると、上質のお酒が京都や大阪など上方から運ばれてきます。これを「下りもの」といいました。一説によると取るに足らないものや、意味のないものを「くだらない」と言いますが「下らない」の語源は、灘など上方で醸造された酒のうち、良い物は大消費地であった江戸へ下るが、悪い物は主に当地で消費され「下らない」ことから、つまらない、できの悪い物を指し「くだらない」といったといいます。戦国時代が終わり江戸時代になると平和になり、物流も盛んになりましたから、江戸っ子たちは多いに飲酒を楽しみました。上方で生まれた清酒は諸白(もろはく)と呼ばれ江戸で大人気。まだ関東では清酒を作る技術が高くなかったのです。しかも船で揺られて江戸に下って来た清酒は樽から香りが溶けだして、味に丸みが出て、さらに美酒になっていました。するとそれを知った上方の人も、江戸に運んだ清酒の一部を上方に持って帰ります。このお酒は富士山を2度見たということで「富士見酒」    江戸っ子はいかにお酒を楽しんだか?   72

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