おもしろコラム9月号
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尖った歯を持ったあごに変えられてしまいました。一方、カリストーの息子であるアルカスは、立派な青年に成長し、野山で狩りをするようになりました。ある日アルカスは、一頭の熊に向かって弓を引きました。しかしそれは、熊に変えられた自分の母親の、変わり果てた姿だったのです。これを知った大神ゼウスは嘆き悲しみました。そこで時間を少し前に戻し、カリストーがアルカスに射殺される直前に、二人とも空に上げ、星座にしました。そうして母親のカリストーがおおぐま座、息子のアルカスがこぐま座になったのです。ですから、おおぐま座は息子をいつくしみ、息子の周りを回転しているのだと言われています。しかし嫉妬深い女神ヘーラーの怒りはますますおさまらず、おおぐま座とこぐま座は永遠に空にあり、地上に降り-   8     (コラムニスト て休むことを許してもらえないために、北半球では一年中空に昇っているのだそうです。昔は航海士の北の目印とされた大切な星、北極星。それは、こうして見ると、悲しい物語の結果なのですね。北極星は肉眼でやっと見つけることができるほどの小さな星ですが、探してみて、悲しい母子のお話に思いを馳せてみてはいかがでしょう。気象予報士 チャーリー)201509/絵:そねたあゆみ

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