おもしろコラム11月号
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井上勝彦)201811 -    天商でもQRコード表示するだけでキャッシュレス取引が開始できるという。これまでのような高額なレジシステム    11月号-172  も不要なので、普及の速度は速いに違いない。昔、給料は現金支給だった。この給与袋が立つ(袋にたくさん札束が入っている)のが労働者のステータスだった。そして、その給料袋を奥方に手渡すことで夫としての威厳が保たれていた。それが、給与が振込になってからというもの、夫の地位は低下する一方だ。お金の入りだけでなく出もキャッシュレスになったら夫の立場など消滅しはしないか心配だ。当時の話題を2つ追加しておく。ある自動車工場の工場長が、もらったばかりの給料袋を車のドア上のルーフにちょっと置いた(たぶん給料袋は立っていたと思われる)まま走り出してしまい、全額路上にバラまいて無くしてしまったという出来事があった。また、これは小生の義兄の話だが、大手自動車会社に勤めていた彼は、給与が振込に変わった後でも数十年の間、奥さんに給料を現金で渡していたという。義姉は専業主婦で世情にも疎かったのだが、疑問に思わなかった。当然、中抜きしたお金は女に使ったわけだが、彼が定年退職をすると、義姉はコツコツと溜めたお金で新たに家を建てて、出ていってしまった。彼は古い家で一人寂しく老後を過ごしている。現金社会とキャシュレス社会のどちらがいいかはわからないが、時代は確実にキャシュレスの方向に、しかも急速に向かっている。     (ジャーナリスト 

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