おもしろコラム11月号
68/200

●チキン味が世界に受け入れられたヒミツ●チキンラーメン完成! そして発売という気持ちがインスタントラーメンを作ろうという原動力でした。百福さんは、インスタントラーメンの定義を・飽きの来ない味・常備できる保存性・手間いらず・安価・安全かつ衛生的と決めました。それともう一つ。これは百福さんがこれまで、数々の実業で成功してきた事業家ならではのアイディアなのですが、それが「食品の工業化」でした。つまり工場で食品を大量生産するということです。機械で食品を作ることで、食品の品質が一定になり、大量生産することで値段を安く抑えることができます。百福さんは新作ラーメンの味をチキン、すなわち鶏ガラスープ味と決めます。これはニワトリが嫌いな息子さんも、チキンスープなら大丈夫であったことからなのですが、これが良かった。百福さんは世界初のインスタントラーメンである『チキンラーメン』を発明しますが、このラーメンが世界中に広まるためには、「ビーフ」や「豚骨」のラーメンではうまく行かなかったかも知れないのです。理由は世界にはいろいろな食文化があり、イスラム教徒は豚食がタブー、ヒンズー教徒は牛食がタブーなのです。しかしニワトリをタブーにしている大宗教はありません。さらにキンスープは、世界中のスープの基本であったからです。百福さんは、失敗を重ねながら文字通り寝食を惜しみ、一日3~4時間しか寝ないで研究を続けます。百福さんの失敗を調べながら、いまこれを書いている私には一つの疑問が浮かびました。「乾麺なら、そうめんもあれば乾燥うどんもあったはず。百福さんはなぜそちらの方向にいかなかったのだろう?」     11月号-67

元のページ  ../index.html#68

このブックを見る