おもしろコラム11月号
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●大ヒット、そしてラーメンという言葉を根付かせる年ではどんなものが買えたのでしょう? 国鉄初乗り10円(1000円)、ラーメン35円(700円)……そう、当時チキンラーメンはお店で食べるラーメンと同じ値段だったのです。現代の感覚では高すぎると感じることでしょう。いえ、実際、当時の人も高いと感じたかも知れません。しかし、チキンラーメンは飛ぶように売れました。これ、ちょっと珍しい現象なんです。食というのは、命がかかっていますからどうしても保守的になる。大人ほど新しい食べ物を食べたがないのです。それにお店で食べるラーメンと同じ値段。初めてみる形、色だって悪く言えばちょっと毒々しい。まず消費者より問屋が「本当に売れるのか?」と、不安がったといいます。しかし売り出してみると、どんどん売れに売れて生産が追い付かなくなるほどだったといいます。チキンラーメンの創始者である安藤百福さんは、さっそく工場を大きくして、一日10万食以上を生産するようにしましたが、それでもまだまだ追いつかない。この大ヒットの理由は、単にチキンラーメンが手軽に早く食べることができ、美味しいというだけではなさそうです。実は百福さん、さすが実業家、開局したばかりの民放でチキンラーメンを宣伝。これで一気にチキンラーメンは全国区に躍り出たのです。JR山手線140円)、銭湯の入浴料16円(東京都460円)、ざるそば25円(600~わかりやすくするため、当時の物価と現在の物価を比べてみましょう。        11月号-69

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