そういうと「電気、ガス、水道はもっと以前から普及していたでしょう」と言う人がいると思いますが、ぼくは60 11月号-84 年代に神戸市で生まれました。割りと都会に近かったと思いますが、遠い記憶で子どもの頃にお風呂を薪で沸かしていたことを覚えています。この時代に、土間がありカマドがあった台所から、ダイニングキッチンに変化し、家庭料理も大きな変化が起こった時代だったのです。さて、日本にせよ、世界にせよ、表の食事文化はプロの料理人が作ったものですが、実際圧倒的多数の生命を支え- (文:巨椋修(おぐらおさむ) 食文化研究家)202211ていたのが家庭の料理です。こっちはあまり表舞台には出て来ません。家庭料理も大切な食事文化のひとつなのです。
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